「此処は、特殊な病気を持った患者のみが入院しているという、奇妙な病棟で御座います。」
「涙を流せば、その涙は宝石となる。」
「言葉を吐く度に、薔薇の花弁が口から零れ落ちる。」
「満月の夜を迎える度に、過去の記憶が失われていく。」
突如として人々の身にあらわれた、
およそ現実のものとは思えないような非現実的な病。
どうして発症したのか。
有効な治療法は何か。
この病は感染するものなのか。
全てが謎に包まれており、世界中の学者たちが研究を続けている。
ここは、
そんな未知の病を患った者たちが集まる特殊な病棟。
患者の心身のケアをする療養施設でもあり、
患者の様子を観察し、
治療法を探るための研究施設でもあり、
不思議な病状を気味悪がられ孤独を抱えた者たちの、
唯一の居場所でもある。
奇妙な病を患い、社会から切り離された彼らは、
何を思い、どう生きるのか。